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Channel: 寺山 英樹 | ダイビングと海の総合サイト・オーシャナ
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Cカード講習の相場はいくら?僕の講習が6万円だったわけ

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「ダイバーになるのにいくらかかりましたか?」のアンケート結果が出ました。
ダイバーになるのにいくらかかりましたか?ダイビングのライセンスのお値段 | オーシャナ

セブ島・オスロブのジンベエザメ(撮影:越智隆治)

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なぜ、こんな質問をしたかといえば、よく聞かれるんですよね。
「ダイビングのライセンスっていくらで取れるの?」と。

いつものように「ライセンスではなくてですね……」ということをお伝えした後に(笑)、「ひと口にいくらかって言われると難しくてですね……」と、何だかややこしくて歯切れの悪い返答をすることになってしまいます。

ダイビングに携わる仕事をしている僕がこうですから、ダイビングをやったことのない人にとっては想像すらつかないですよね。

Cカード講習の相場。

経済も経営もまったく勉強してこないで、「何だかおもしろうだし」と浮ついた気持ちで社会学部に入った僕の頭で、相場について考えてみます。

まず、モノの値段が決まるとき、コストに利益を乗せて値段にするのが最もシンプルな考え方です。
しかし、競争相手や相場感(納得感)を考慮しなければ売れません。

「そんな値段じゃやっていけない」と言ったところで、消費者目線で値段をつけないことにはどうにもならないのは、今さら僕が言うことでもないでしょう。

ダイビングでは、この相場感(納得感)が難しい。

例えばライブのチケットや生活用品、食品であれば、生活する中で何となく想像することができます。
ガソリンがリッター100円って言われたら「安っ!」ってなりますが、Cカード講習をちゃんとやってもらって、全部込みで5万円だよと言われたら、僕は安いと思いますが、内容がわからない人にとってはリアクションのとりようもありません。

実際、「いくらくらいだと思う?」と聞くと、「2~3万くらい?」と普通に返ってきますが、まあ、その値段では、講習のみを見れば原価割れ確実なので、商売としては僕はやりたくありません。

僕のCカード講習が6万円だったわけ

僕も一応インストラクターですので、個人的に頼まれて講習をしたこともあります。

その時、まあまあ良心的だと思える日程、学科1日、プール1日、海洋2日でやるとして、ゲスト1人の原価(教材、申請料、タンク、施設使用料、プール費など)だけで、確か4万円はいっちゃいました。
それに、交通費や宿泊を足せば5万はすぐですよね。

友人だったので、では込み込み5万円で…とはいきません。
友達なので利益はとらないとしても、せめて自分の経費はもっていただく必要があると考え、自分の宿泊費や交通費、タンク、施設使用料など、イントラ価格とはいえ、だいたい2万円。
となると、それを乗せると7万円。

もし、これが友達ではなく、可愛い子であれば経費なしの5万円でいいのですが、その場合は、利益なしで持ち出しであることを遠まわしに伝えて、せめて伊豆の夜は同部屋にしてもらうことには了承をしてもらないと困ります。

で、結局、僕の経費負担を分散させるために2人で講習を受けてもらうことにして、6万円でお願いしました。
都内を拠点に伊豆で講習ということを考えた時、利益を出さなくとも6万円出してもらわないとこちらの持ち出しになってしまうのです。

Cカード価格競争の中身が大事

だから、「講習代が6万円以下なんておかしい」というつもりはまったくありません。
これはあくまで、資格しか持たない個人イントラの僕が、コストを基本に、お気楽に価格設定した講習のひとつの例です。

先述したとおり、商売でやるなら消費者目線での価格設定が必要で、どんな業界でも、コスト・価格を下げるための企業努力をしています。
大規模経営でスケールメリットを生かしたり、収益構造を変えたり、インフラを自前で整えたり…。

ダイビングでいえば、まあ、スケールメリットはわかりやすいので、構造という例でいえば、Cカード講習を収益の導入と考え、ゴールをアドバンスや器材販売込みに設定し、Cカードを取っただけで終える人はリスクと考えて……みたいな考え方。

インフラでいえば、プールやタンク充填を自前で持ったり、海にクラブハウスを所有したり、あるいはプールの代わりにコンファインドが可能な海の近くで経営したり。

どれもゲストが回っていること前提なのでヒリヒリしますが、まあ、どんな業界でも、ここが企業努力の厳しい競争ということになるのでしょう。

もちろん、質の問題もあるわけですが、電化製品や生活用品と違って、まったく未知のダイビングでは、判断基準のないノンダイバーにそれを伝えるのは、なかなか難しいことです。

うちの実家はお肉屋さんですが、大型スーパーにはないケア(料理に合わせて切ってあげる、とか)やスーパーより良い肉という評判で今でもボチボチやっていますが、極端にいえば、良い肉かどうかどころか、鳥か豚かもわからず、何がケアなのかもわからない状態のお客さん相手ということです。

そして、ここが最大の問題ですが、競争のうえ、企業努力の結果で価格を下げるのならよいのですが、消費者に判断基準がないだけに、手抜きが入り込む余地が出てきてしまうということです。

やるべきことをやらなかったり、確認すべきを確認しなかったり…。
しかも、誰もチェックしないのであればなおさらでしょう。

企業努力による価格競争なのか、手抜きによる価格競争なのか、消費者にはよくわかりません…というか、僕にも一見しただけではよくわからないのです。

この点が、「講習のレギュレーションは、日程や時間など、最もわかりやすい部分をそろえないと公正にならないのでは?」といつも言っている理由です。

講習の達成目標というのは一見正論ですが、裏を返せば、イントラのさじ加減ひとつとも言えなくもありません。
性善説でイントラを信じたいところですが、性悪説で考えれば、コスト削減の温床となり得ます。

講習生に最低限のルールを知ってもらうなら、講習自体の最低限のルールもしっかり決めてチェックする体制がなければ、真面目に講習をしていて、さらに値段を下げるために企業努力をしているお店が損をするだけでしょう。

で、結局、Cカードの相場っていくらなの?

インターネットでダイビング講習のお値段で検索すると、刺激的な料金が並んでいますが、今回のアンケート結果の方が、実態にあった妥当な金額だと思います。

実際の価格として、ぜひ参考にしてください。

以前、ダイバーに行った「Cカードの適正価格はいくらだと思いますか?」というアンケートの結果と比較すると、すでにダイバーの方たちは、自分たちが実際にかかった費用より、ちょっと低めの料金が納得感のある料金となっているようにも見受けられます。

■Cカード講習の適正料金は?
Cカード講習の適正価格は? | オーシャナ

しかし、これはぜひ調査したいところですが、ノンダイバーたちに妥当だと思われる料金を聞けば、もっと低い料金を口にする気もします。
そんな時に、彼らの考えに見合う価格がインターネットで見つかればそりゃ飛びつきますが、それが手抜きだったら不幸ですよね。

個人的には、価格設定に関しては、いろいろな考え方、やり方があるので、価格競争自体を単純に悪者にする気はないのですが、少なくとも、公正な競争であってほしいと思います。

そんなわけで「適正価格っていくら?」と聞かれると困ってしまうわけですが、少なくとも、自分の場合は、まずは、「プール1日、海洋2日の計3日間(+学科)をちゃんとやってくれるところがオススメだよ。特にプールしっかりやってくれるところ」と伝えます。

これは、良い悪いというより、自分のダイビングの哲学というか、そういう部分として、自分に関わってダイバーになる人には、それくらいの時間はかけて取って欲しいという願いからです。

で、質問者が親しくて、それなりに払える人なら、顔が見えて信頼感のある伊豆のイントラを紹介します。
費用は、交通費別7万くらいで、正直、イントラの経営モデルや懐事情を知った上で「それくらいもらわんと割に合わん。というか、もっとももらってもいいくらい」「彼が海の窓口なら絶対幸せ」という、どちらかといえばイントラ寄りの視点も入っています。

「そんなお金がない」という人には、よくみんなに聞かれる大型店の4万くらいの講習でも、まあ、スケールメリット生かした適正の範囲じゃない?と言ったりしていります。

ただ、さすがに、19,800円だった場合は、普通にやったら原価割れで、何か理由があるはず。
それはひょっとしたら企業努力の賜物かもしれないのですが、いちいち調べるのも面倒なので、「やめたほうがいいんじゃな?」と言ったりしています。

というわけで、こうした情報はメディアがしっかりしろよっていう大ブーメランなわけなので、そういう客観的な評価、あるいは、信念に基づいてオススメする仕組みを作らないといけないですね…。

おまけ

よく「手抜き講習ってどんなの?」と聞かれますが、例えば、PADIが出している、やるべき項目なんてのは参考にするのはひとつの手ですよね。
まあ、全部、自助努力ってところがあれではあるわけですけど。

■プール講習でやるべき内容
プール(限定水域)ダイブ~ダイビングに必須の38スキルをマスターしよう!~

よく「泳力チェックなんてされなかった」という話もよく聞きますが、これを見ると、それは手抜きだったことがわかりますね。

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